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最終日「諸外国の事例から学ぶ女性コーチのキャリア形成」を学ぶ海外研修代替イベントを開催しました

更新日:2021年4月1日


日本体育大学はスポーツ庁の委託を受けて、ナショナルチームクラスで活躍を目指す女性コーチを対象に、ハイパフォーマンス領域で強みとなるコーチングスキルの向上を目指して「女性エリートコーチ育成プログラム」を提供しています。ナショナルチームクラスのコーチは国際的な場で活躍することが求められるため、本プログラム受講者を対象に、諸外国で女性コーチ普及活動の最前線で活躍する人物や女性エリートコーチのロールモデルとなる人物に出会う機会をつくり、国際的なネットワークづくりと国際人としての意識を醸成することを目指して、海外研修を行っています。

今回はコロナウイルスの影響で海外渡航が厳しかったため、海外研修の代替として、国際座談会をオンラインで実施。本プログラム最終日となるこの日は、本プログラム対象コーチとオーストラリア体操協会「NextGEN Program」に参加する女性コーチたちとの交流を目的に、以下の概要で実施されました


■日時:3月2日(火) 9:30~11:30


■講師:ミッシェル・デ・ハイデン氏(オーストラリア) オーストラリア体操協会


■最終日アジェンダ

1. 伊藤雅充氏より、本プログラム「女性エリートコーチ育成プログラム」の紹介

2. ハイデン氏より、NextGEN Programの紹介

3. 両プログラムに参加しているコーチたちによるディスカッション



冒頭の挨拶では、ハイデン氏より、日本とオーストラリアのコーチがこうして参加してつながる場をもてたことへの喜びが伝えられ、伊藤氏と共にプログラムを共有する機会を得たことへの期待を伝えるメッセージをいただき、会がスタート。

そのあと本プログラム実施責任者である伊藤雅充氏とNextGEN Programのリーダーであるミッシェル・デ・ハイデン氏両名からそれぞれのプログラムの概要の説明があり、今回参加している両プログラムのコーチも交えてディスカッションが行われました。


冒頭のあいさつをするハイデン氏と伊藤氏



伊藤氏からは本プログラムの全体像や目指していること、メンターや実践コミュニティーなどを使ったブレンド型学習で支援する工夫などを紹介。




ハイデン氏からはNextGEN Programについて、以下紹介がありました。


オーストラリアの体操協会が実施している「NextGEN Program」は、10人のコーチが参加。候補者のコーチが申請し、学びたいことについてのエビデンスを提出。自分で学びたいことを自分で組み立てていく仕組みになっており、2022年末まで実施予定。



また、プログラムを通してナショナルレベルでリーダーシップを発揮できることや、ラーニングモデルを構築していけることを目指し、具体的には「知識」「コーチングスキル」「資金」「リーダーシップ」「知識、経験などのプロファイルを行った上で成長プラ ンを作成する個別サポート」「国際的なコーチ同士のネットワーク作り」の6つの成果を目指していると、詳しい説明がありました。


学習活動や質の高いコーチの育成、心理学に取り組むこと、テクニカルな学びを合宿などを通して身に着けること、プロとしての知識を構築していくこと、これからメンタリングに取り組んでいき、コーチそれぞれの学びをサポートしていくこと等、使われている言葉や支援方法について、日本体育大学(本学)のプログラムと重なる部分があるものとして紹介されました。




次に、まだまだ男性の声が主流になっているスポーツ界において「女性の声に力を与えよう」を大テーマとし、参加したコーチたちを2グループに分けて、以下の具体的な3つのテーマについて、ディスカッションを行いました。



【テーマ】

1. プログラムに参加したことで得られている自信やエンパワメント

2. 視認性(ヴィジビリティ)の重要性

3. 女性コーチを支援するため必要な環境


写真はディスカッション中の様子



■テーマ1 プログラムに参加したことで得られている自信やエンパワメントについて


参加者しているコーチからは、以下のような声が挙がりました。


● いろいろなコーチと話す機会を得られ、学びあう機会が自分の成長につながっている

● プログラムから得たいろいろな知識が自信になっている。

● プログラムで課題を見つけ、弱みを克服していきたい

● 解決策を周囲のコーチを巻き込みながら模索できるようになったことが、とても役立っている

● プログラムを通じて、環境を変えていくための勇気をもらった。

● 男性の役割と固定観念が強い指導もあるが、プログラムを通じて得た知見・スキルで女性ならではの方法で選手育成ができると思っている


多くのコーチから挙げられた意見の共通点としては、「プログラムで同僚となる仲間との学び合い」がありました。


互いが抱える課題を共有し、解決策を共に紐解き支え合うことが、コーチ自身の学びや自信につながっており、課題に立ち向かう勇気をもらえているということです。

また、コーチ自身も周囲を勇気づけたり、良い取り組みや組織のありかたを広めていきたいなどの意欲的な声も多く聞かれました。



■テーマ2 視認性(ヴィジビリティ)の重要性

このテーマについては、「見える」ということで無意識に思考が作られること、ハイパフォーマンス領域では男性コーチが多いことやリーダーシップを男性がとっているのを見てきた影響などに触れ、以下のような意見が出ました。


● 女性もハイパフォーマンスで活躍できることを示す必要があるし、それが当たり前な社会にする必要がある

● 女性活躍の場をつくるためポジティブな影響を与える必要があり、それには本プログラムに参加している女性コーチたちがロールモデルとなることで、次世代の選手やコーチたちがリーダーシップをとる勇気をもてるようになること


また、ディスカッションでは女性特有の子育てと仕事の両立について話が及びました。

各自の状況について共有し、子育てと仕事を両立するために必要な支援を受けていくためには、自分の状況を発信し、周囲の理解を得られるようにすることが重要であると確認。

また、本プログラムに参加しているコーチ同士のネットワークを活用しアドバイスをもらい合える関係作りの必要性についても確認し合いました。



■テーマ3 女性コーチを支援するため必要な環境

3つ目のテーマについては、コーチ育成プログラムやコーチの学びのコミュニティの存在の必要性について、自身のプログラム内での経験をもとにお互い語り、以下のような意見が出ました。


● メンターを始め、周りに自分をサポート・支援してくれる人がいることが重要

● 学びや支援の機会を得るためには、自分から積極的にオープンマインドで相談をしていること

● 本プログラムのような学びの場があることが助けになっていること


NextGEN Programの参加者にはメンターをどのようにつけてきたかの質問も上がり、実際様々な競技のメンターをつけている話を伺うなど、ディスカッションを通じて環境構築についての有意義な情報交換をすることができました。




研修の最後は、伊藤氏・ハイデン氏からは女性コーチ普及に向けて、本プログラムのようなコミュニティーを男性コーチも巻き込みながら世界中にも広げていく重要性と、世界中で展開されている女性コーチ育成プログラムとの連携を図り、より強固で国際的なコミュニティを形成していきたいという展望が語られ、全4回の海外研修代替プログラムの国際座談会を閉会しました。



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