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2日目「諸外国の事例から学ぶ女性コーチのキャリア形成」を学ぶ海外研修代替イベントを開催しました

更新日:2021年4月1日



日本体育大学はスポーツ庁の委託を受けて、ナショナルチームクラスで活躍を目指す女性コーチを対象に、ハイパフォーマンス領域で強みとなるコーチングスキルの向上を目指して「女性エリートコーチ育成プログラム」を提供しています。ナショナルチームクラスのコーチは国際的な場で活躍することが求められるため、本プログラム受講者を対象に、諸外国で女性コーチ普及活動の最前線で活躍する人物や女性エリートコーチのロールモデルとなる人物に出会う機会をつくり、国際的なネットワークづくりと国際人としての意識を醸成することを目指して、海外研修を行っています。

今回はコロナウイルスの影響で海外渡航が厳しかったため、海外研修の代替として、国際座談会をオンラインで実施。2月16日の1日目に続き、2日目は以下の講師をお招きして実施しました。


■日時: 2月17日(水)10:00~11:30


■講師

  • ダイアン・カルヴァー(カナダ)氏 オタワ大学 准教授

  • ペニー・ワースナー(カナダ)氏 カルガリー大学体育学部学部長、元陸上競技オリンピアン

  • クリスティン・ビグス氏 カルガリー大学女子バレーボール監督、カナダ・シッティングバレーボールチームコーチ


■2日目アジェンダ

1. ペニー・ワースナー氏より、自身のキャリアパス紹介

2. グループディスカッション

3.  「自身のコーチングスキルを伸ばすために2つ何でもできるとしたら何をするか」

4. ダイアン・カルヴァー氏よりCoP(実践コミュニティ―)の重要性について

5. グループディスカッション「誰をCoPに巻き込みたいか」



1976年に選手としてカナダのモントリオールオリンピックに出場したが、1980年のモスクワオリンピックには、当時ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議するボイコットにより、出れなかったワースナー氏。

2度目のオリンピック出場機会を失い落胆するワースナー氏でしたが、その時の支えになったのが、競技と並行して学んでいたスポーツ心理学の勉強だったそうです。人生全体の中にスポーツをどのように位置づけて実践していくかということや、男性中心のスポーツ心理学領域の中で仕事をしていくために博士号取得を決意したことなどについても触れられ、オリンピック出場からカルガリー大学の体育学部学部長にまでキャリアを進めてきたこれまでの想いや努力についてお話してくださいました。


継続的な学びを続けることの大切さやメンターの重要性、安心して質問したり答えてもらえるような学びをサポートをしてもらえる環境の大切さについて、お話を通して学びを得ることができました。



「コーチングスキルを伸ばすために2つ何でもできるとしたら何をするか?」グループディスカッション


ワースナー氏の話のあとは、グループに分かれてディスカッション。

参加者からは、以下のような意見が上がりました。

● ビジネススキル、語学、心理学、洞察力

● 他競技とのネットワークを作るスキル

● 女性アスリート・コーチの財源を確保する能力

● スポーツ心理学や豊富な語彙力言葉遣いなどの語学・コミュニケーションスキル


それらをうけて、ワースナー氏からは、女性のトップ選手がコーチに移行する際の問題や、それに対して自分や周囲の視点を変えることの重要さや、アスリートやコーチが成長するうえでは財源の確保は欠かせないこと、また、アスリートの支援に大切なことは、技術的なスキルの向上だけではなく、心理的にも成長させることが重要など、コーチとしてさまざまな視点から考えることが大切だと考えるきっかけをいただきました。


ワースナー氏:大会に出ながらも教育をうけることを推奨したい

また、ワースナー氏のリクエストを受け、

カルガリー大学女子バレーボール監督、カナダ・シッティングバレーボールのチームコーチをしているビグス氏とオタワ大学 准教授のカルヴァー氏のキャリアパスについても紹介いただきました。


ビグス氏からは、高校で教師をしている傍らでボランティアとして行っていたコーチの体験をきっかけにコーチになったいきさつや、男性コーチが多い現状、女性コーチのロールモデルが少ないことから学びあうコミュニティが必要であること。そして、コーチとして成長するために重要な事として、自分自身をサポートしてくれる環境に身を置くことや支援者の必要性についてが挙げられました。



カルヴァー氏からは、選手時代から支援をうけていたメンターのエピソードを紹介。メンター自身が家族や娘がいるなかで仕事と子育てを両立して支援してくれたことや、メンターとして知識だけではなく社会的、感情的な支援をしてくれるなどロールモデルになっており、よい影響を与えられたという話を通して、メンタリングや選手の支援について、考えを深める時間となりました。



カルヴァー氏より、実践コミュニティ―(CoP)を考える際に必要な視点とは

カルヴァー氏からは、さきほどのビグス氏の話をうけて、自分のメンターを探すだけではなく自分がメンターになることが重要なポイントであること、また、コミュニティーを作る際に誰を誘うかなど、自分が目指したい事の実現にむけて、必要な人材が誰なのか戦略的に考えることの必要性を訴えました。

またその際は、協会はもちろんハイパフォーマンスディレクターや他業界の人も含めて広い視点で考えることの大切さについてもお話をいただきました。


グループディスカッション「誰をCoPに巻き込みたいか」


カルヴァー氏の問いについて、2グループで本日2回目のディスカッションを行いました。

参加者からは栄養士や自分自身のコーチ、スポーツ界以外の経験をしている人や成功している経営者などの意見がでました。その中で、競技と仕事を両立する「デュアルキャリア」の視点から自分の夫や家族に理解してもらうことや、周囲にいる男性コーチにも、彼ら自身にデュアルキャリアを理解しても らうアイデアもあがり、女性アスリートやコーチへの理解も深まるのではないかと期待する声が挙がりました。


ディスカッションのまとめとして、カルヴァー氏からは、アルバータのプログラムについての事例も交えながら、以下のような熱いメッセージをいただき、コミュニティーのありかたに全員熱い思いを抱きながら2日目の研修を終えました。

  • 本プログラムでのコミュニティーがすでに大切なコミュニティーになっていること

  • コミュニティを維持・継続する大切さ

  • コミュニティはニーズを満たすためのコミュニティであることを忘れてはいけないこと

  • コーチング現場は男性優位な世界ではあるが、絶対に成し遂げられるので、情熱を忘れず可能性をあきらめずチャレンジし続けてほしいこと


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