日本体育大学は令和2年度よりスポーツ庁の委託を受けて、ナショナルチームクラスで活躍できる女性コーチの育成を目指す「女性エリートコーチ育成プログラム」を展開しています。
コーチが効果的なコーチングを実践していくためには、コーチが他者と円滑にコミュニケーションを取るための「対他者の知識」、コーチとしての自分を磨き成長し続けるための「対自己の知識」、そしてスポーツ特有の技術やスポーツ医・科学などを含む「専門的知識」の3つの知識が必要だと言われていますが、「サテライト・レクチャー」では、コーチングに必要な専門的知識の獲得を目指していきます。
前年度までは、知識獲得機会として研修会を実施していましたが、令和3年度は対象コーチたちの学びを一層加速していくための取り組みとして、年度内4回の研修会に加えて、定期的にこのプログラムを実施していきます。
今回は2021年5月17日(月)に実施した、第1回目の内容について振り返っていきたいと思います。

【第1回概要】
■ 日 時:5月17日(月)13:00〜14:30
■ 講 師:須永 美歌子(すなが みかこ) 日本体育大学児童スポーツ教育学部教授(運動生理学研究室)
■ テーマ: 「エリートコーチが知っておきたい女性アスリートのコーチング 〜女性アスリートのコンディション管理の基礎知識〜」
コーチの重要な役割の一つであるアスリートの競技力向上。日々のトレーニングや食事、普段身を置く環境などなど、競技力向上には様々な要因が影響する中、試合に向けていかに「コンディショニング」を整えていくかが重要な側面となります。
そのような中、今回は女性アスリートのトレーニングやコンディショニングの専門家である、日本体育大学の須永美歌子教授をお招きし、女性アスリートのコンディショニングを整えるための観点として以下の内容について、情報提供をしていただきました。
女性アスリートに多い健康障害 ・アスリートの三主徴 ・無月経と運動パフォーマンスの関連性
月経周期とコンディション ・月経困難症と月経前症候群 ・月経周期とウエイトコントロール
講義の中では各内容に対する理論的な背景の説明に加え、
「三主徴の発生防止のため普段からできる評価方法(スクリーニング)」
「月経異常を判断するためのポイント」
「月経周期と体重管理を考える観点」
「低用量ピルの導入方法」
など、コンディショニングに関連する知識をどのようにコーチングで落とし込んでいくのかについて、コーチたちの質疑応答も交えながら講師と共に考えていきました。
プログラム終了後、対象コーチからは、
「月経を疎かにしてはいけない」
「無月経の選手が、筋トレや全力発揮の時に運動反応が低いことを、初めて知りました」
「婦人科に診察に行くことがハードルの高いことではないことを伝えていきたい」
「低用量ピルの使用可能年齢について、どう説明するか悩んでいたが納得する答えが見つかった」
などのような感想が寄せられ、アスリートのコンディショニングを考えていく上での新たな気づきが得られていたとともに、女性特有の課題に対処する知識や対応策を持つことの重要性を再認識することに繋がっていました。
今回の「サテライト・レクチャー」を皮切りに、研修会、海外研修(前年度に引き続き、代替プログラムをオンライン開催)など、令和3年度のプログラムが本格的にスタートします。
引き続き、この場を借りて本プログラム対象コーチたちの学びをお伝えしていきます。
